「KくんがBさんにケンカ売ったらしいよ!」
学校は、その日その噂でもちきりだった。
Bさんはもともと隣の学区のはずなんだけど、正確な理由は知らないが何故かうちの中学に越境入学していた。
家はすごいお金持ちで、家はマンガに出てくるような日本家屋の豪邸らしい。
お父さんはやくざ屋さんっていう噂もあって、生徒はもちろんだけど、先生でさえBさんに強くものを言うことはできないらしかった。
Bさんはとにかく手の着けられない不良で、校内でも不良の女の子達とつるんでヒドいことばっかりしていた。
とにかく目をつけられたら適当な理由をつけていじめられる。
何故かはわからないけど、いじめられるのは男の子の方が多かった。
ある日、廊下でBさんにガンをつけたとかそんな理由で、水泳部のFくんが目をつけられてしまった。
Fくんはその場でBさんたちに羽交い締めにされて、みんなの前で制服のズボンとパンツを脱がされてしまったらしい。
脱がされたズボンとパンツは三階の窓から外に放り投げられ、校庭で部活の準備運動をしていた私の目の前に落ちてきた。
Fくんは下半身裸のまま半べそをかきながらそれを拾いに校庭に出てきて、三階の窓からBさんたちがげらげら笑いながらそれを見ていた。
Fくんが戻ると、部活用の競泳パンツがビリビリに破られて教室の黒板にマグネットで留められてたらしい。
そんなことが、日常茶飯事だったのだ。
FくんはKくんの親友だ。同じ水泳部のKくんは、前日ひどく様子がおかしく部活にも出なかったFくんが、その日学校を休んでいる本当の理由を聞いて怒り狂った。
みんなが止めるのも聞かずに、隣のクラスにいたBさんのところに行くといって出て行ってしまった。
で、冒頭のようなことになったわけだ。
Kくんは空手の段も持っていて、スポーツ万能の男の子だ。
背はあんまり高くないけど、強いし優しいしちょっとカワイイというので、女の子たちには密かに人気があった。
私が冊子が入った重い段ボールを二階の生徒会室に運んでいるとき、「ヒマだから手伝ってやるよ」と言って一緒に運んでくれたことがあった。
私が一箱でひいひい言ってる箱を、三箱も軽々と持ち上げてひょいひょい階段を昇っていくKくんに、私もちょっとドキドキしてしまった。
Kくんは五分と経たずに教室に戻ってきた。
そのままムスッとした顔で自分の席に座り、そのまま突っ伏して寝てしまった。
誰もKくんに話しかけない。
隣のクラスから青い顔をした女子が何人かやってきて、後ろの方でひそひそと話をしている。
Kくんに突然すごい剣幕で罵られたBさんは、「あァ!?」と当然のごとくブチ切れたらしい。
その場で強烈なキックをKくんの横腹に入れようとしたらしいが、Kくんは肘を出して余裕でがっちりその脚を受け止めたという。
Bさんは怒りを押し殺したようにニヤリと笑って、低い声で「てめえ放課後B倉庫に来い。そこで話つけてやる。」と言い放って終わったというのだ。
今までBさんにケンカを売った子なんていなかったし、Bさんを怒らせた子がそのまま無事戻ってくるなんてことも前代未聞だった。
そんなわけで、KくんがBさんにケンカを売って放課後に決着をつけることになったらしいって噂は、学校中に広まっていった。
B倉庫というのは、Bさんたちがたまり場にしている学校近くのプレハブで、Bさんたちが勝手にそう呼んでいた。
もともと金属加工をしていた製作所の廃屋だ。荒れ果てているけど中はかなり広い。
昼休み、二クラスある一年生の女子は全員、Kくんの処刑を見にB倉庫に来いという通達がもたらされた。もちろんBさんからだ。
恐ろしいことになった。みんな青い顔をしていた。みんなの前で罵倒されたBさんが、生やさしい手段を使うとは到底思えなかった。
いつもは明るいKくんが、相変わらずムスッとした顔で黙っている。誰もKくんには近づけなかった。
このさい警察に……、なんてことを言い出す子もいたけど、そんなことがBさんに知れたら大変なことになると一蹴された。警察すらB家を敵に回したがらないという噂さえあったのだ。
それに、わずかだけど、KくんがBさんをやっつけてくれるんじゃないかという期待もみんなの中にあったと思う。
Bさんの横暴を快く思っている人はもちろんいなかったし、KくんはいつもBさんにいじめられているようなひ弱な男の子とは全然タイプが違う。
そういうわけで、誰もが不安と期待を胸にその日一日を過ごしたのだった。
放課後、B倉庫にKくんは一人でやってきた。
こんなアウェーの恐ろしい場所に一人で堂々と話をつけに来たKくんの態度は、男の子らしい正義感に満ちあふれていたと思う。でも、そんなものはBさんに通用するわけはなかった。
Bさんの言う「処刑」は、もう初めっからとんでもなく卑怯な手で始まったのだった。
Kくんに近づいたBさんは、いきなりスタンガンをBくんのお腹に押し当ててスイッチを入れた。
うめいてその場に膝から崩れ落ちたKくんのお腹に、Bさんの強烈な蹴りが入り、Kくんは床に倒された。
倒れたKくんに、Bさんは容赦なく次々に蹴りを入れていく。
みんなの心の中にあったわずかな期待が、がらがらと音を立てて崩れ落ちた。
お腹に、背中に、頭に。手加減無しで蹴りを入れられるKくんは、それでもなんとか立ち上がろうともがいていたけど、手で防御するのが精一杯だった。
Kくんの後頭部を踏みつけたBさんは、薄笑いを浮かべながら「あたしにケンカを売るなんて千年早いんだよ」と言い放ち、もうひとつおまけだとばかりに思いっきりKくんの横腹に蹴りを入れた。
それからは目も当てられない惨状だった。
Kくんは、Bさんと取り巻きたちに制服のシャツもTシャツも破き取られ、ズボンも脱がされてパンツ一枚の姿にされてしまった。
両脇から二人にがっちり羽交い締めにされたKくんは、両脚も二人に押さえられて私たちの前に連れてこられた。
「おい、S。こいつのパンツを脱がせろ。」
Bさんは前にいたSさんにそう指図した。
Sさんはおろおろしながらも、もちろん逆らうわけにはいかずにKくんのパンツに手をかけた。
「やめろよぉ!!」もがきながらKくんは叫んだけど、「さっさとやれ!」とBさんに急かされたSさんは、半分涙目になりながらKくんのパンツを足首までずり下ろした。
パンツはBさんに足で踏みつけられて足首から抜き取られ、Kくんはついに全裸にされてしまった。
誰も目を背ける子はいない。
ちゃんと見ていないと、Bさんの容赦ない怒声が飛んだ。
裸になったKくんの体が目の前にあった。重い段ボールを軽々と運んでくれたたくましい男の子の体は、こんな状況で言うのもなんだけど、はっとするくらいきれいだった。
女の子とは違う、筋肉質な体。日焼けした肌が、汗で湿ってにぶく光っていた。
腹筋が、荒い息を吐く度に浮き上がった。膨らみのない胸の小さな乳首を、かわいいと思った。
「チビのくせに一丁前に毛生えてんじゃん。」
BさんはKくんのオチンチンの上に薄く生えそろった毛をつまんで引っ張った。
今までBさんに裸にされた男の子は何度か見てきたけど、Kくんのオチンチンはけっこう大きい方だと思った。
「女子の前で裸にされてチンチン見られて、恥ずかしくねーのか?」
BさんはKくんのオチンチンをつまみあげた。
KくんはキッとBさんをにらんだけど、その目からぽろりと涙がこぼれ落ちた。
「こいつ泣いてやがんの。これからもっと恥ずかしい目に遭わせてやるよ。」
Bさんは、今度はKくんの玉をグイッと握りながらそう言った。
BさんはKくんのオチンチンの毛をライターで燃やし始めた。
後ろ手に縛り上げたKくんの両足首を取り巻きたちが握り、股裂きの刑が始まった。
逆さにされて両脚を左右に引き裂かれ、Kくんは「やめろーっ」と叫ぶ。
そのままの格好で左右の鉄骨の間に縄で両脚を縛り付けられたKくんの姿を、Bさんは楽しそうにビデオカメラに収めていく。
私たちからも丸見えになったKくんのお尻の穴を指で広げ、中を覗き込むようにレンズを近づける。
Bさんの取り巻きたちが、全裸で逆さ吊りになったKくんの体に、出力を絞ったスタンガンを押し当てる。
電流を流される度に叫んで体をビクビク痙攣させるKくんに、縄の切れ端でBさんが何度も鞭を打つ。
かっこよくてかわいいKくんがそんなふうに拷問されていくのを、私たちはただ見ていることしかできなかった。
泣いている女の子もいたけど、目を反らすことは許されなかった。
Kくんの男の子らしい筋肉質な体は、あっという間に傷だらけになっていった。
お腹や胸、背中やお尻だけじゃなく、オチンチンにも何度も電流を流されて、Kくんはやがて声もあげられないほど衰弱してしまったようだった。
ひっくひっくとしゃくりあげるKくんのオチンチンから、精液がたらたらと漏れ出してしまっていた。
ようやく逆さ吊りから解放され腕の拘束を解かれても、Kくんはもう立ち上がることもできなかった。
うつぶせに床に倒れたままはあはあと肩で息をするばかりのKくんの背中を踏みつけて、Bさんは満足そうだった。
「あたしに逆らうとどんな目に遭うか思い知ったろ。」Bさんは自分の足で踏みつけたKくんの姿をビデオカメラに収めながらそう言った。
取り巻きの一人が、Kくんのお尻の穴に、事務机の引き出しに残されていた耳かきを差し込んでイタズラし始めた。
奥の方まで細い耳かきを入れられると、Kくんは「あぁっ、あっ」と声を上げ、背中をビクッと震わせた。
「ははっ。女にケツの穴ほじくられて喜んでんのか。変態じゃねーのかこいつ。」
Bさんは面白そうにその様子もカメラに収めていく。
耳かきでお尻の穴の中を深くほじくられる度に、Kくんはあえぐような声を苦しそうにあげ、体を痙攣させた。
股の間からKくんのオチンチンを引っ張り出して、今度はBさんがその辺に落ちていたステンレスの細い丸棒をお尻の穴に突っ込んだ。
棒で深く中を突きあげられる度に、Kくんのあえぎ声がせっぱつまっていく。
そして、いちばん奥深くまで丸棒をグイグイと突っ込まれた瞬間、Kくんのオチンチンから白い精液がびゅっびゅっと何度も噴き出して、股の間にみるみる水たまりを作っていった。
◆
最大出力のスタンガンで気絶させられたKくんは、全裸のままB倉庫から運び出され、敷地内の空き地に転がされた。
脱がされたKくんの制服やパンツは、Bさんたちがドラム缶で燃やしてしまった。
空き缶や鉄くずが散乱し雑草の生い茂る空き地に、傷だらけになった裸の男の子が転がっているというその信じられない光景を、ようやく傾き始めた初夏の陽が金色に照らしていた。
誰も勝手に助けることは許されなかった。私たちは、そのまま家に帰るように言われてそこを立ち去るしかなかったのだ。
全裸の男の子がB倉庫裏の路肩で気を失っているのが発見されたのは、その日の夜だった。
Kくんはオチンチンをめちゃくちゃに踏み潰され、片方の精巣が破裂し、お尻の穴には火が付いたまま入れられたらしいたばこの吸い殻が何本も入っていたそうだ。
Kくんは土日明けの月曜日も、もちろん学校には来なかった。
その後もKくんが学校に戻ってくることは二度と無かったし、先生たちは誰もそのことに触れようとしなかった。
Bさんはその後も相変わらず学校で横暴を続けていた。
ただいくぶん以前よりもおとなしくなったように見えた。
こっそり匿名で警察にたれ込んだ子も何人かいたみたいだが、どういうわけか捕まる様子はなかった。
B倉庫はあの後すぐに取り壊されて高い塀で囲まれた。
今日、Kくんのいない卒業アルバムを見ながら、冊子の箱を運んでくれたあの時のかわいい笑顔と、羽交い締めにされて裸にされた時の悔しそうな顔、それから、男の子の体を初めて間近で見たあの時のドキドキと、その後のBさんの酷い仕打ちを思い出して、一気に涙が溢れてきた。
ごめんね、Kくん。そう呟いて、卒業アルバムに名前すら載っていないKくんが、どこかで元気に立ち直ってくれていることを祈るしかなかった。
制裁2

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